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story

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主人公・浅名時雨には一つ、望みがあった。

たった一つ、幼いころに誓ったちっぽけな望み。「家族の幸せを守りぬく」という望みが。

時雨は心に決めていた。その望みを果たすためならば、自分はどんなことでもしようと。その望みのためならば誰かを――たとえ己自身を傷つけ、欺くことになろうとも。

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ら変哲の無い、ファミリー向けの賃貸マンション。

その一室に、主人公・浅名時雨は、母と兄の三人で暮らしていた。

時雨は自身について、どこにでもいるような普通の優等生と心得ていた。

それと等しく、時雨は自身を、生まれながらのゲイであるとも理解していた。

優等生として学級委員長を務める裏で、日々同性愛者向けの出会い系サイトに潜り、怠惰かつ惰性的に、破滅の沼にゆったりと身を沈めてく時雨。

そんな時雨の人生を大きく揺るがす出来事が起きたのは、彼が2年生に上がったばかりの春のこと。

時雨は突然、母・浅名静香からなんら前触れもなく 再婚 話を持ち出された。そしてさらに再婚相手には5人の息子がいて、自身が7人兄弟の末っ子になるということを知らされる。

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ファミレスで行われる兄弟の顔見せに、次々と集まる兄弟たち。そこに現れた長男・高垣綾人を見た途端、時雨はその身を雷に打たれること以上の衝撃を受けることになる。それはまさに、恋に落ちるような……。

 

その出会いが、彼の心の中で長く凍り付いていた感情を動かす、運命の始まりであった。

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